幼稚園・保育園の園長先生インタビュー 『園長先生に聞いてみよう』
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第1回
パドマ幼稚園(大阪市)秋田光彦園長先生

大阪の都心ミナミからほど近くに、上町台地と呼ばれる貴重な自然が残る地域があります。その上町台地の豊かな緑を背景に、心地よい空気が園庭に流れる、創立56年を迎えるパドマ幼稚園があります。

教育方針と理念の実践が注目を浴びているパドマ幼稚園に、2009年4月、新しい園長先生が就任しました。秋田光彦さん(53才)。

パドマ幼稚園 秋田光彦園長先生お寺の跡継ぎとして生まれながら、20代の頃には、映画の脚本家・プロデューサーとして時代に訴える作品を生み出し、僧侶しては、お寺の意味を問い直し活動され、若者が集うお寺として注目されています。

実際に園長として取り組みはじめた印象や、今後の幼稚園運営を伺うつもりが、常に大局で物事を捉えられる秋田さんの話は、幼児教育や社会の問題にまで発展・・・
(聞き手 OYAIKU運営局 岩貞光祐)

今年の春に新しく園長として就任された印象を教えてください。

これまで、幼稚園の全国組織である総合幼児教育研究会の運営にたずさわるなど、外部から園を見る立場にありました。実際に園に入って強く感じたことは、「園長が園に居続ける重さ」です。

園長になってから毎朝、玄関に立って子供の登園を迎えています。たまたま、入園式の日の朝に、玄関に立って子供を迎えたことがきっかけだったのですが、泣きながら連れてこられる子供さんもいるわけです。私にハイタッチして、元気よく通ってくる子供さんもいる。そういった日常の空気を肌で知り、信頼感を築いていくことの重さを感じています。

これまでの仕事と大きく異なることはありますか?

私はメディアや宗教家として「言語世界」で生きてきました。しかし幼稚園という場は、そういったロジックが占める左脳的な世界ではなく、感覚と情緒の右脳の世界だと思います。幼稚園は、人間の精神として欠くことができない、感性を育む場ですので、これをデザインしていくことが大切ですね。

幼稚園の役割として大切なことは何だと考えられていますか?

幼児教育には大きく2つの役割があると考えています。一つは『子供の育ち』。そしてもう一つが『親の育ち』です。

パドマ幼稚園 かけっこの写真パドマ幼稚園では、親子共育
(おやこ、ともいく)ということを提唱していますが、今の時代、幼稚園が親にきちんと、園では何をしているのかということを伝えることが何よりも大事です。
園での行事一つとっても、どういう目的や意味があるのか、正しく言葉で伝え続けなくてはなりません。

もし仮に園が、説明をすることを止めてしまえば、保護者は単にサービスを享受する『お客様』になってしまいます。おこがましい言い方かもしれませんが、目には見えない思いや志を共有して、ともに歩んでいく『同志』でありたいと思っています。

家庭と幼稚園の違いについてどう思われますか?

「家庭」と「幼稚園」とは違うものであり、決して、「幼稚園」は「家庭」の延長ではありません。

子供は家庭では「王様」です。一方、幼稚園では王様ではいられません。

他者の中での生活をしますので、いろいろと思い通りにならないことが起こります。集団生活には、わが意のままにならない、秩序とかルールがある。その違和感を経験することがとても大事で、子供たちは、その中から規範や協調性を学んでいきます。家庭に帰り、王様でいられる安心感とのバランスも大事ですね。

幼稚園は、子供に気持ちよく過ごしてもらうための場ではなく、教育の場です。個人から集団の一員になる場です。「他の人と一緒に暮らすことはやっかいなことであるが、じつに楽しいことだ。」そんなことを少しでも伝えることができたらと思います。

お父さん、お母さんへ、幼稚園選びのアドバイスをお願いします

幼稚園は、自分で足を運んでみないと分からないと思います。

パドマ幼稚園 教室の写真ネット上の情報、うわさ、評判だけでは分からない。我々の幼稚園も、いろんな噂が一人歩きしていることもあります。必ず自分の目で見て、特に、その園の園長が何を考えて、何を語るかがとても重要です。公立園にない特色は、結局、教育理念であり、建学の精神です。

園長の信念に触れて、そこに共感できるかどうかが園選びで大事だと思います。

最後に、メッセージをお願いします

幼稚園は、子供を実際に通わせているかどうかに関わらず、大人がいろいろなことに気づく場です。

「人間の原点を思い起こす場」であると考えています。

人間とは弱いもの、人間とは無垢である、人間の欲は後からいくらでもついてくるものだ・・・様々なことに気づかされ、今の自分を見つめなおす、貴重な地域資源が幼稚園の存在感ではないでしょうか。

「子供が居てくださるありがたさ」というものを社会全体で認識していければと思っています。

写真提供:パドマ幼稚園


プライベートな7つの質問

Q1.好きな食べ物は何ですか?

何でも好きだけど、最近は、韓国料理が好き

Q2.毎日、習慣としていることは何かありますか?

お経を読むことと簡単なストレッチ

Q3.休みはどんな過ごし方をしていますか?

ストレス発散は、映画を見に行くこと。月に3本くらい映画館で見る。DVDではなく、必ず映画館。レイトショーが多い。

Q4.仕事でスランプや落ち込んだりすることはありますか?

あります(と即答)

Q5.ある場合はその対処方法があれば教えてください

違う人と会う。映画も他者。日常と違う世界、いわゆるだまし。コンパクトに出会う他者。全く違う世界で、変わったことしてんなー という人と会うことは刺激を受けて発見が多い。

Q6.好きな言葉・人生訓をお教えください

最近は、法然上人の言葉で「愚者の自覚」と答えています。園長としても、ふんぞり返ることなく、いかに目線をさげて、一人ひとりの心境に近づくことができるか。

Q7.無人島に食べ物以外で何か持っていくとしたら何ですか?

山尾三省の「祈り」という詩集かな

Q8.人生の一番の転機だったできごとを教えてください

5,6年前に大病をしたことで人生観が変わった。

無人島の質問には、くだらん質問するなーと苦笑いされて、でも、1分ほど、じっくり考えて答えくださいました。何事にも真摯に応えてくださる秋田さんらしい一面でした。

取材:2009年7月


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